2. 分科会

日時: 2020年1月25日 9時45分~18時
場所: こうべまちづくり会館
言語: 日英逐次通訳
参加: 招聘パネリストとポスターセッション参加者を中心に各分科会約30人

a 語り継ぎとミュージアムの役割(9時45分~12時、2階ホール)

災害に関連するミュージアムは世界中に存在する。災害に特化したミュージアムもあれば、常設展示や期間限定の企画展示という形でミュージアムの一部になっているもの、あるいはフィールドミュージアムと言えるようなものまであり多様である。このセッションでは、国内外の「語り継ぎ」活動を展開しているミュージアムの代表者を招き、「語り継ぎ」がそれらのミュージアムや地域社会の中で果たしてきた役割、共通点、相違点、課題などを明らかにしつつ、課題を乗り越えるためのソリューションを共有し、よりよい「語り継ぎ」とミュージアムとの持続可能な運営の関係性を考えていく。

パネリスト 名前 所属
分科会座長 小野裕一 東北大学災害科学研究所 教授
分科会共同座長 ハフニダール アチェ津波博物館 館長
パネリスト マーリーン・ムリー 太平洋津波ミュージアム 代表
パネリスト 坂本誠人 人と防災未来センター 副センター長
パネリスト 佐藤公 磐梯山噴火記念館 館長
パネリスト ポルンタム タムウィモル 文化省美術局上席景観設計専門官

b 語り継ぎとツーリズム(9時45分~12時、3階多目的室)

災害の語り継ぎはツーリズムと結びつくことで持続可能性を高めると当時に、災害や復興の経験、記憶はツーリズムの重要な資源となり、地域経済の復興にも資する。台湾やインドネシアでは、生態系保全やアートなどとも関連したツーリズムを展開している。地域アイデンティティに根差した地域資源の多様な学びや地域住民との交流などをコンテンツとする着地型観光において、語り継ぎは、①災害後と災害前をつなぐ、②地域住民と来訪者をつなぐ、③被災地と未災地をつなぐという3つの「つなぐ」に必要不可欠な技術である。「学び」や「交流」の場として、近年高まりつつある災害とツーリズムの関係性について話し合う。

パネリスト 名前 所属
分科会座長 田中尚人 熊本大学 熊本創生推進機構 准教授
分科会共同座長 イカプトラ ガジャマダ大学 教授
パネリスト 草野悟 公益財団法人 さんりく基金総括コーディネーター
三陸鉄道株式会社 総合企画アドバイザー
パネリスト 山崎麻里子 一般財団法人 3.11伝承ロード推進機構
パネリスト 松本和夫 熊本県 知事公室

c 語り継ぎとローカルコミュニティ(13時~15時15分、2階ホール)

ローカルコミュニティは、災害の語り継ぎを生みだし、支え、つなぐ役割を担う。語り継ぎをめぐる活動は、それを核とした新たなネットワークをもたらし、地域振興、まちづくり、地域防災、教育へと活動の幅を広げる。コミュニティにおいて語り継ぎがどのように生み出されたのか、コミュニティはどのように語り継ぎを支えているのか、そして、語り継ぎはコミュニティに何をもたらしたのかなど、災害が起こってからの経過年数が5年、15年、95年というように異なる状況にあるコミュニティの経験を共有するとともにその特徴を比較し検討する。

パネリスト 名前 所属
分科会座長 阪本真由美 兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科准教授
分科会共同座長 ギュルム タヌルジャン ボスフォラス大学 准教授
パネリスト ファウスティト A. オーレ 東ビサヤ国立大学 教授
パネリスト 松井敬代 豊岡まちなみ連盟事務局 次長
パネリスト 松井憲 復興交流館モンドラゴン 事務局長
パネリスト 山住勝利 ふたば学舎震災学習ラボ 室長
パネリスト チョン カイ リン 北マレイシア大学UUMビジネス校技術管理及びロジスティック学科災害管理機構 研究員

d ジオパークと語り継ぎ(13時~15時15分、3階多目的室)

阪神・淡路大震災の震源地に程近い六甲山は地震の繰り返しで高くなった山である。これが示すように、阪神・淡路大震災をもたらしたような地震が過去に何度も起きた痕跡が多く残されていることを研究者は知っていたが、地元には伝わっていなかった。一方、断層でもたらされる豊富な湧水など、地元への恵みも共有されていなかった。ユネスコの科学プログラムの一つであるジオパークは、ダイナミックに変動する地球の活動を地元の方々がよく知り、その証拠を大切にし、教育や観光にも活かして持続可能な地域社会を作っていく活動で、防災教育も重要なミッションとなっている。自らは語ってはくれない大地を読み解き、現代にどう語り継げばよいのか、幅広い視点で議論をする。

パネリスト 名前 所属
分科会座長 中川和之 時事通信社解説委員、日本ジオパーク委員会調査運営部会員
分科会共同座長 イブラヒム コモオ アジア太平洋ジオパークネットワーク コーディネーター
パネリスト ナンシー アグダ フィリピン大学国立地質科学研究所
パネリスト 西谷香奈 伊豆大島ジオパーク推進委員会委員グローバルネイチャークラブ
パネリスト 柴田伊廣 文化庁文化財第二課 日本ジオパーク委員会調査運営部会員

e 災害遺構と記憶の継承(15時45分~18時、2階ホール)

東日本大震災による津波被害の影響で、遺構や遺物が残り、大災害の被災地では、遺構や遺物を保存・公開する動きが生まれる。そして、それらを被災体験の語り継ぎや防災教育などに生かそうとの活動も始まる。その一方で、こうした活動は被災の苦悩や悲痛さを喚起するものとして、反対もしくは距離を置く人びとも存在する。また、いつしか建造物は老朽化し、語り部は高齢化していくため、財源の確保や人材の育成は、いずれ必ず直面する問題でもある。災害遺構の有効活用や課題への取り組みについて、実情の報告を踏まえて検討する。

パネリスト 名前 所属
分科会座長 石原凌河 龍谷大学政策学部准教授
分科会共同座長 ポール ミラー カンタベリー大学 教授
パネリスト 坂口奈央 東北大学大学院文学研究科
パネリスト 関俊明 公益財団法人群馬県埋蔵文化財調査事業団
パネリスト 杉本伸一 三陸ジオパーク推進協議会
パネリスト 蒋正興 921地震博物館 学芸員

f 語り継ぎと交流(15時45分~18時、3階多目的室)

語り継ぎの難敵は災害体験の風化である。災害の痛切な記憶も時の経過とともに徐々に薄れることを免れ得ない。世代が交代し、災害体験世代が社会の中心から退くに従い、体験を語り継ぐことの難しさがいや増す。語り継ぎの持続のためには、災害の記憶を時に新たにする契機が必要であろう。この契機は、かつての被災地が新たな被災地を支援する交流活動や、被災地が非被災地にその体験を伝える交流の中に見出されるように思われる。本分科会は、国内外から交流活動の担い手を迎え、被災地のさまざまな交流活動が語り継ぎの持続に及ぼしうる効果を検証し、語り継ぎにとり実りある交流のあり方を検討する。

パネリスト 名前 所属
分科会座長 坂戸勝 元独立行政法人国際交流基金 理事
分科会共同座長 エコアグス プラウォト ドゥタワカナキリスト教大学 教授
パネリスト J. デイヴィッド ワッゴナー三世 ワッゴナー&ボール建築環境事務所 創立者・代表
パネリスト 吉椿雅道 CODE海外災害援助市民センター 事務局長
パネリスト 張国遠 新安世紀教育安全科技研究院 院長・副教授