参加者

世界各地で災害体験の語り継ぎに取り組む人々、災害体験の語り継ぎに取り組むミュージアム関係者、災害の語り継ぎを研究テーマにしている研究者、行政関係者、ボランティア、語り継ぎに関心を持つ一般市民、企業など。(※本フォーラムで「語り継ぎ」とは、人が言葉で直接語る「語り継ぎ」だけでなく、写真や映像、手記、壊れた時計などの事物、音楽や絵画などのアート、記念碑や公園などにより間接的に語り継がれるものを広く含む。)

テーマ

全体テーマ

災害の記憶をつなぐ:阪神・淡路地域では震災から25年を経て災害を直接体験した方々が次第に減っていく中、今後もこれまでと同様の語り継ぎを続けていけるかどうかの正念場に差し掛かっている。これはどこの被災地でも対処しなければならない共通課題である。他方、世界各地には数世紀にわたって災害体験が語り継ぎながら地域づくりを行なっている事例も少なくない。被災地同士が交流を深めてともに災害体験の風化と闘っていく必要がある。

サブテーマ

語り継ぎのパワー:実際に起きた事柄に基づいて当事者が心から発する言葉、被災者にまつわる事物や資料が訴える力は大変強い。被災地の人々が抱いた強い恐れや不安、深い悲しみや悔しさ、あるいはつらい状況でこそ一層心に沁みた助け合いの気持ちなどが語り継ぎの受け手にも「わが事」として伝わってくる。語り継ぎが持つこの大きなパワーを被災者の心の復興に繋げ、ひいては被災地全体の復興に繋げていくにはどうしたら良いか。

語り継ぎの条件:全ての災害の被災地で語り継ぎが活発に行なわれているわけではない。大多数の被災者にとっては災害時のつらい体験はできるだけ思い出したくないのは自然なことである。語り継ぎが人々や社会にとって大変大切なものであるとしても、他から押し付けられるべきものではない。自発的な語り継ぎの動きの芽をどのように育てていったら良いか。被災地同士の交流は語り継ぎの始まりや継続にどのように資するか。

語り継ぎの方法:災害の語り継ぎの方法は多様である。写真や映像、遺留品などの事物(artifacts)、音楽や絵画、記念碑などによるものも多い。災害を直接体験していない人々を媒介とする間接的な語り継ぎもある。地域の年中行事などによって災害体験を息長く語り継いでいる事例もある。災害から時が経つにつれて語り継ぎの方法を変えていく必要もあるだろう。人々のコミュニケーションのあり方を劇的に変えているICTはどう役立つか。

ミュージアムの役割:実体験に基づく語り継ぎのパワーは大きいが、それは本来的に主観的かつ断片的である。行政側の記録など語られにくいものもある。被災地が直面した災害の過程を遺漏なく後世に伝えていくには、災害の実体験が持つパワーを大切にしながらそれらを周到かつバランス良く総合化していく必要もある。この点でミュージアムには大きな役割がある。組織の力で風化を食い止める役割も大きい。災害の語り継ぎに関するミュージアムの役割を考える。